ペタライト・ペンダントの物語 – 『耳の奥の光』
舞台:東京都国立市・緑に囲まれた小さなマンション
主人公:沙月(さつき/37歳/女性/在宅校正者)
✨【序章】
静かな街、国立。
春になると桜並木が美しい大学通りの近くに、
沙月はひっそりと暮らしていた。
在宅での校正の仕事は、静けさと集中力が求められる。
彼女にとっては心地よい日々。
でも、ときどき、
「自分が透明になっていくような孤独」を感じることがあった。
ある日、ネットで偶然見つけた
高い透明度を持つホワイト・ペタライトのペンダントに目が留まった。
「耳のチャクラが開くような石」
そんな言葉が説明に添えられていた。
それがなぜか、“誰かに呼ばれた気がする”と感じ、購入した。
🌿【第一章:聴こえない声】
ペタライトのペンダントが届いた日、
沙月は、箱を開ける前に思わず深呼吸をしていた。
ペンダントは、光を吸い込んだように、
やわらかく澄んだ輝きを放っていた。
身に着けて数時間。
身体に強い変化はなかったが、
夕方、ふとした瞬間に、耳の奥で「ふっ」と風が抜けるような感覚があった。
その瞬間、
目には見えない何かが「そばにいる」と思えた。
音ではなく、“意識の気配”。
なぜか、まったく怖くなかった。
🌌【第二章:高いところからのまなざし】
その夜、いつもより深く眠った沙月は、
不思議な夢を見た。
天井のない部屋で、
光に包まれた何人かの存在が、円になって彼女を囲んでいた。
そのうちのひとりが、彼女の耳にそっと口を近づけて言った。
「あなたの“聴く力”は、いま目覚めたところ」
目覚めると、涙が頬を濡らしていた。
「私、昔から“言葉にしない気持ち”を感じ取ることが多かった」
忘れていた感覚が、急に蘇った。
その日から、
メールの文章や人の声の“奥”にある本音のようなものが、
以前よりクリアに感じ取れるようになっていた。
🪞【第三章:ペンダントの震え】
ある日、校正の仕事中、
見知らぬ若い著者の原稿に向き合っていたとき、
胸元のペンダントがふわりと温かくなった。
その瞬間、「この著者は、嘘を書いていない。
でも、“本当に言いたいこと”をまだ書いていない」
そんな直感が、強く胸に届いた。
まるで、ペタライトが
“本質を聴きなさい”と、教えてくれているようだった。
沙月は、その原稿の編集者に
「この原稿、あと一枚だけ“心の声”を加えたら、すごくなる気がします」
と伝えた。
数日後、その編集者から
「本人も同じことを感じていたそうです」と驚きの返信が届いた。
🌠【エピローグ:見えない会話】
今も沙月は、ペタライトのペンダントを身に着けている。
誰かと話すとき、
目の前の言葉だけではなく、
“その奥”にあるものに、耳をすませるようになった。
ペタライトは、
「言葉にならない祈り」や
「形にならない想い」の層と、
彼女をつないでくれている。
耳の奥でふっと風が通るとき、
彼女は静かに目を閉じて、
誰かの心と“透明な会話”を交わしている。
🌈【この物語が伝えていること】
わたしたちは、言葉で伝えるよりも前に、
“聴くことでつながっている”。
ペタライトは、
その“耳の奥にある扉”をそっと開いてくれる。
聴こえないものを感じる感性こそ、
本当の対話のはじまりかもしれない。
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