高千穂水晶の物語 – 『風の戻る場所』
舞台:宮崎県高千穂町・山間の小さな宿
主人公:真理子(まりこ/45歳/看護師・休職中)
テーマ石:高千穂産の水晶ポイント原石(透明度が高く、白く輝く内包物あり)
✨【序章】
都会の病院を辞めて3ヶ月。
真理子は、山の静けさに身を委ねるようにして、
一人、宮崎の高千穂町にある古民家の宿に滞在していた。
朝も、昼も、夜も、
すべてが静かだった。
なのに、心の中だけがいつまでもざわついていた。
白衣を脱いでも、看護師としての「責任の声」が耳の奥に残っていた。
ある日、宿の近くにある無人の神社の石段で、
白く澄んだ光を放つ水晶を拾った。
それは、苔むした地面の上に、まるで待っていたかのようにあった。
🌿【第一章:透明な問い】
その夜、水晶を手にして寝た真理子は、
夢の中で、かつて担当していた患者の声を聞いた。
「ありがとうって、最後に言えなくてごめんなさい」
目覚めたとき、胸の奥がふと軽くなっていた。
「私、ずっと誰かに許されようとしてたんだ」
その気づきが、心の底に小さな“風穴”をあけた。
澄んだ水晶の奥に見えた、白い閃き。
それは、言葉ではない“応え”だった。
🌌【第二章:風の戻る道】
数日後、宿の女将にすすめられて、
真理子は山の奥にある「天岩戸神社」へと足を運んだ。
岩の裂け目に手をかざしたとき、
なにも聞こえないはずの場所で、
不意に風が頬を撫でた。
その瞬間、あの白い水晶が熱を帯びたように感じた。
「戻っていいよ」
誰かの声のようで、自分の声にも思えた。
あの日、辞めたことは逃げじゃない。
ただ、風向きを変えるための一歩だった。
🪞【第三章:手放さない理由】
旅の終わりが近づいていた。
帰るかどうか、決めかねていた夜。
水晶を枕元に置いて眠ると、
夢の中で、古い校舎のような場所に立っていた。
そこには、誰もいなかった。
でも、不思議と孤独ではなかった。
教室の窓から風が吹いていて、
誰かが黒板にこう書いていた。
「あなたは、今でも“誰かを癒す人”です」
目覚めた瞬間、真理子は思った。
「この水晶は、私の“芯”を思い出させてくれるもの」だと。
🌠【エピローグ:再び、歩き出す】
帰京を決めた日。
高千穂の空は、雲ひとつなかった。
水晶は、小さな布袋に入れてバッグの奥にしまった。
それは、何かの終わりではなく、
「静けさと共に戻る」という、新しい選択だった。
今も真理子の通勤鞄のポケットに、
あの高千穂の水晶はひっそりと収まっている。
心が騒ぐ日には、そっと触れて、
風が戻る場所を、思い出す。
🌈【この物語が伝えていること】
人は時に、責任や役割の声に縛られ、
自分の「静けさ」から遠ざかってしまう。
けれど、本当に必要なのは、
他人に許されることではなく、
自分が自分に「戻っていい」と言えること。
高千穂の水晶は、
そんな“透明な許し”を思い出させてくれる、
風のように、静かに、確かに。
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